今回は、湘南・鎌倉のスモールビジネス経営者(一人社長)なら知っておきたい企業型DC(企業型確定拠出年金)についてご紹介します。
記事のポイント
〇企業型DC(企業型確定拠出年金)の概要
〇企業型DCのメリット(会社側)
・一人社長の法人でも加入が出来る
・掛金が全額経費になる
〇企業型DCのメリット(従業員側=社長個人)
・70歳まで加入が出来る
・会社が拠出した掛金は個人の給与扱いとならない
・運用益には税金がかからない
・受給時の所得税も軽減される
〇企業型DCのデメリット(注意点)
・掛金には上限(拠出限度額)がある
・基本的に60歳にならないと引き出せない
・運用益がマイナスにこともある
・導入コストがかかる
▼企業型DC(企業型確定拠出年金)の概要
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、会社が従業員の掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員が自ら年金資産の運用を行う制度です。
会社が掛金を拠出することが、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)と最も異なる点です。
原則60歳以降に、運用してきた年金資産を受け取ります。
〇企業型DCのメリット(会社側)
▼一人社長の法人でも加入が出来る
企業型DCには、加入人数の制限はありません。
(運営する機関によって、企業規模に要件を設けているケースもあります)
よって、企業型DCの加入要件の一つである、厚生年金に加入していれば(第二号被保険者であれば)、加入が可能です。
▼掛金全額が会社の経費になる
会社が拠出した掛金全額を経費(=全額法人税の損金)にできます。
また、運営管理費用や資産管理費用等の手数料も同様に経費計上可能です。
〇企業型DCのメリット(従業員側=社長個人)
▼70歳まで加入が出来る
2022年5月以降、「65歳未満まで」から「70歳未満まで」に加入可能年齢が拡大しました
▼会社が拠出した掛金は個人の給与扱いとならない
会社が拠出した掛金は個人の給与扱いとならず、税金や社会保険料の負担が増えることはありません。
給与扱いとなると所得税や住民税がかかり、社会保険料の対象になりますが、企業型DCで会社が拠出した掛け金は、給与扱いとはならないため、所得税、住民税、社会保険料の計算の対象から外れることになります。
▼掛金の運用益には税金がかからない
通常、金融商品を運用すると、運用益に税金がかかりますが(源泉分離課税20.315%)、企業型DCの運用益には税金が掛けられません。
▼受給時の所得税も軽減される
企業型DCは、受給時に通常の所得税の計算より優遇された計算方法が適用され、税負担が軽くなります。
受取方法を年金か一時金で選択することができ(金融機関によっては、年金と一時金を併用することもできます)、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。
〇企業型DCのデメリット(注意点)
▼掛金には上限(拠出限度額)がある
他の企業年金(厚生年金基金、確定給付企業年金など)がある場合とない場合で掛金の上限は異なります。
他の企業年金がある場合 月額2万7500円まで
他の企業年金がない場合 月額5万5000円まで
※会社が拠出する掛金に加えて、従業員が掛金を上乗せして拠出する「マッチング拠出」制度を利用する場合も、上記の金額が掛金の合計金額の上限となります。
▼基本的に60歳にならないと引き出せない
企業型DCはやむを得ない事情がある場合(定められた条件に該当する場合)のみ脱退が可能で脱退一時金を受け取ることが出来ますが、税制上の優遇は受けられません。
▼運用益がマイナスになることもある
企業型DCは、将来、受け取れる額があらかじめ確定しているわけではなく、運用成績により変動します。運用商品の中には、元本が確保されていないものもあります。
▼導入および管理にコストがかかる
企業型DCは、制度を導入する際の一時金や口座開設手数料といった初期費用がかかるほか、毎月の管理手数料もかかります。料金は運営管理機関や資産管理機関となる金融機関によって異なります。
尚、これらの費用は会社の経費になります。
今回は、湘南・鎌倉のスモールビジネス経営者なら知っておきたい企業型DC(企業型確定拠出年金)についてご紹介しました。
確定拠出年金には、他にiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)もありますが、掛金や運営に係る費用が企業型DC(企業型確定拠出年金)は会社負担であるのに対し、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は個人負担となり、異なります。
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